日々

散髪屋

あまりに長く閉じ籠もって息を殺す様な暮らしぶりが続いたので、何をどう書き残していいやらよく解らなくなってしまって、何年も何も書かずにいた。 僕の持病の事もあって、取り敢えずは慎重にしていたけれども、こうも長く続くともう色々と通常に近づけて暮…

きょうはいい日

パニックになってはいけないけれど、冷静な危機感は持ち続けなくては、と思いつつ、何だか夢の中にいるような、熱に浮かされたような、薄ぼんやりとした不安感に包まれたまま、ニュースを見て溜息をつく。 武漢、イタリアやパリの惨状を聞いて、余所事のよう…

壊れる

壊れる。 兎に角色々な物が壊れる。 車が壊れる。 パソコンが壊れる。 エアコンが壊れる。 どれもそれなりに古いものだから、いつ壊れても何の不思議もないのだけれど、どうしてこうも続けざまに壊れるのか。 物に自然治癒力はないので、壊れることはあって…

不具合

体調の事を記録しておいた方がいいだろうと思いながら、不調について改めて書くと自分でも気が塞ぐものだから、つい書かずに過ごす。 普段は人に話したりもしないし、自分でもなるべく気にせずにいる。 気にしたところでどうにかなる訳でもないのだから、気…

名前のない魔物

先々月入院した兄は、比較的軽度の脳梗塞だった。 思っていたよりも早くに退院し、仕事にも復帰した。 色々の不自由もある様だけれども、一先ず胸を撫で下ろす。 胸を撫で下ろしたところで今度は自分の体調が悪くなり、目眩が酷くて数日寝込んだ。 乗り物酔…

何もないことの幸せ

気が付けば、もう半月ほど誕生日が過ぎている。 この日記の書き出しに、「気が付けば」と書くのはもう何度目の事だろう。 もう誕生日なんて本人でさえ忘れている事も屡々で、特に目出度い日でもなくなっているのだけれど、何事もなくまたこの日を迎えられた…

死者の助け

長年お世話になった恩師の死、甥の死、両親の死。 様々な形の死について、考えさせられる機会が多くなった。 これは自分が歳を重ねた結果として自然な事であるし、自分の死については割合感傷的にならずに冷静に考える事が出来るが、妻や子の事については、…

溜息

年末に子がインフル羅患などして、気がつけば年も明け、早くも月が変わろうとしている。 時が経つのが早過ぎて、気持ちがちっとも追いつかない。 忙しい、などと言ったら叱られそうな、ぐうたらした毎日である筈なのに、どういう訳だか慌ただしくはあって、…

父の骨

父の葬儀、何とか滞りなく。 母の時と同じ葬儀場、火葬場。 そして母の時と全く同じく、厳かな気持ちで臨んだのに、火葬場のトイレにて社会の窓が全開であった事に気付く。 母の時とあんまり同じシチュエーションなので、気付いた瞬間、驚きのあまり妙な声が…

父のこと

父が亡くなった。 四月にこの日記に父の事を書いてから五ヶ月。 病院のベッドで、安全の為に着けられたミトンを嫌がりながら、何度も危険な状態になりながら、呆れるほどの強靭さでその度に持ち直した。 もう回復の見込みが無いのなら、出来るだけ苦しまない…

記憶

日が長くなったので、時折保育園の帰りに公園へ寄り道をする。 ブランコを押していたら長男が唐突にこう言った。 「ねーねー、ちーくんが赤ちゃんだった時、ちーくんのこと、おばあちゃん抱っこしたよねー?」 「したよ。どうして?」 「おばあちゃんもう来…

突然の訪問

大学時代の友人から連絡があり、嬉しい突然の訪問。 出張の為に移動中なのだけど、新幹線を途中下車して寄ってくれるとのこと。 会うのはもう随分と久し振りで、長男が生まれて少ししてから一度、上京した折に会ったきりだから、もう四年近くも会っていなか…

黄金の日々

先月の初め頃だったか、或いはもう少し前か。 長男が園で貰って来た風邪にやられて、寝込んだ。 咳が酷かった以外は熱もそれ程には上がらず、 とは言うものの40度代迄は行かずにぎりぎり踏み留まる、という感じではあったのだけれど。 横になると酷く咳き込…

書き残しておく理由

決して楽観的な方ではないが、自分では、大袈裟に悲観的な方でもない、と思っている。 誰にでも明日が来るわけではない、と考えているし、普段からそのように生きようと心がけてはいるが、気付くと色々と先送りしたり疎かにしている事ばかりで、この日記もそ…

非常扉

段々に冷えてきた所為か、またもや腰を痛めてしまった。 普段からあれこれ工夫もして気をつけている筈なのに。 前回の時程ではなく、時間を掛けさえすれば何とか自分で立ち上がれるから、まだマシだと思う事にする。 とは言え子供の送り迎えも満足に出来ない…

静かなる隣人

ちょっと耳にした話から、ずっと以前、学生時代に下宿していた頃の話を幾つか思い出したので、ここに書き記す。 もしかしたら前にも触れた事があったかも知れないが、よく思い出せない。 学生時代に暮らした部屋は、兎に角家賃が安いという事を優先して選ぶ…

伝える

姪がハロウィンメイクをしに来た次の日。 置いて行った荷物を取りに来がてら、晩御飯を一緒にする事に。 遠くに住んでいる訳ではないが、こうしてのんびりと一緒に過ごす機会はそう多くなく、生前母が彼女に伝えたくて伝えられなかった言葉や気持ちを、早く…

Happy Halloween

僕も妻も、パッと遊ぶ、とか、憂さを晴らす、とか、そういう事をあまりしない。 二人とも筋金入りのインドア派だし、呑んだり打ったりの派手派手しい(パッとした)趣味もないし、せいぜい家で映画を観るくらいが日々の楽しみで、それで大した不満もない。 し…

くろいしと

長男が時々興味深い事を言う。 次男が風邪をひいて体調の良くなかった時だったか、昼寝のタイミングを逃して薄暗くなり始めてからしきりにぐずり出したので、家の中を静かにするため長男を外に連れ出した。 家を出て駐車場の横を通り過ぎる時、突然ハッとし…

動物園

金曜、保育園の遠足の日だったのだけれど、それには参加せず家族で動物園へ自主遠足する事に。 僕の体調の所為もあって、最近では予定を組んでもその通りに行かない事も増え、時々はこうして子供達を行楽へ連れ出したいと思いながらなかなか実行には移せない…

アボカドの唄、後日談

urone.hatenablog.com 後日、妻が「歓喜の歌」の歌詞を調べて教えてくれた。 花さく丘べに いこえる友よ吹く風さわやか みなぎるひざしこころは楽しく しあわせあふれひびくは われらのよろこびの歌 (岩佐東一郎作詞・ベートーベン作曲/文部省唱歌「よろこ…

あれから何度も備忘録を更新しようとしてはここを訪れ、 キーボードに手を置いて長いこと固まった挙句、何もせずに閉じる、という事を繰り返している。 去年のうちに書き留めておきたい事がいくつもあった筈なのに、 時間が経ち過ぎていて、その時の気持ちを…

 敬老の日、母が旅立った。

白血病が再発し、再入院してから四日目のことだった。 何でも我慢してしまう癖の人だったから、 医師が「全身の骨が軋むような激しい痛み」と表現した痛みでさえ、 ぎりぎりまで自宅で我慢してしまったようだ。 モルヒネの投与が遅れた為にすぐには充分な鎮…

少し前に、車を買った。 兄が、知り合いの中古車屋に驚くほど安い車がある、と教えてくれたのがきっかけで、 もう車を見もせずに、その場で買う事を決めてしまった。 兄は車を使う商売をしている。 その兄が、確かに古いが、まだ暫くは大きな問題なく使えそ…