2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

チィさんがお世話になった病院へ、御礼の御挨拶に行く。 入り口でお茶菓子を渡して頭を下げると、 まだ病院の奥にチィさんを預けているような、 不思議な気持ちになった。 帰りのバスを待ちながら、どうしても 最期にチィさんを迎えに行った時のことで頭がい…

悪い夢ばかり見る。 夢の中でもいいからもう一度チィさんに会いたい。

「猫鳴り」という本を読んだ。猫鳴り (双葉文庫)作者: 沼田 まほかる,ヌマタ マホカル出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/09/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 56回この商品を含むブログ (42件) を見る チィさんが入院した頃に書店で手に取り、 読むのが辛い…

もっとずっと以前から、まだチィさんが元気で、 家の中を駆け回って僕を追いかけっこに誘ったり 満ち足りた表情で日向ぼっこをしている時分から、 何度も繰り返し悪夢に見て魘されたり、 時々は自分でも滑稽になるくらい畏れていた事が、 いざ現実に起こって…

暖かなよく晴れた日の朝を選んで、逝った気がする。 妻が仕事休みで、一緒に見送ってやれる日。 個別葬の申し込み受付に間に合う時間。 診療時間の始まるほんの少し前。 全てが整い過ぎていた。 あの状態から十六日も頑張った猫は他にいない、と 獣医師が驚…

下血があったとのこと。 知覚過敏から痙攣発作が起こるようになった。 人の耳には届かない音域の、微かな音に反応して痙攣が起きる。 静かな呼びかけや足音で発作を誘発してしまうおそれはないとのこと。 意識レベルははっきりしていて、呼びかけに応じてち…

また一つ歳をとった。 自分の誕生日などさして気に留めたこともなかったが、 今年だけはいつもと違う。 年が越せるかどうかも解らない状態だったのが、 今日まで居てくれた。 それが何よりの贈り物なのだと思う。 毎日僅かでも顔が見られて、呼べばそれに応…

何日も酸素室の中で朦朧としているのを見ていると 本当にこれでよかったのだろうかと考える。 酸素室に入ってからもう随分になる。 よく晴れて暖かな日などは、すぐにも連れ帰って たとえほんの僅かでもいいから 最後に思い切り日差しを浴びさせてやりたいと…

もうあまり見えていないかも知れないと言われた目で チィさんは僕と妻の顔を交互に見る。 顔を近付けて名を呼べば、出なくなった声を出そうとして 喉から「ぐー、ぐー」と音を出して応える。 まだちゃんと意識がある。 もうがんばらなくてもいいんだよ、と思…

午後の面会時間に合わせて家を出、バス停へ向かう。 強い風に煽られて身体がゆらゆらと揺れる。 あまり酷く揺れるので、また目眩が始まったのだと思った。 チィさんの容態を確かめるまで倒れるわけにいかないと思い、 バス停の風除けに背中をぴたりとくっつ…

酸素室四日目。 薄く目を開けて前脚を伸ばした格好をしている。 昨日よりは呼吸が少し落ち着いて見える。 少しだけなら撫でてもよいと言われ、 硝子の扉を開けてもらう。 手を伸ばすと指先に少し顔を近付けて匂いを嗅ごうとした。 頬や鼻の上、横腹をそっと…

朝になると、病院へ電話してチィさんの様子を訊く。 午後の面会時間をひたすらに待つ。 入院二日目の面会。 初日の夜に比べると幾分落ち着いて見える。 息が苦しい為に箱座りしか出来なかったのが、 前脚を伸ばし、ちゃんと目を閉じて眠っていた。 呼吸が酷…

第四期に入り、腎性の貧血から来る呼吸不全で自発呼吸が困難になった。 もう治療の方法は残されておらず、唯々苦しみを和らげる為にのみ、 力を注ぐ。 昨日は息は荒いものの気持ち良さそうに日を浴びて目を細め、 触れればそれに喉を鳴らして応えてくれた。 …