突然の訪問

大学時代の友人から連絡があり、嬉しい突然の訪問。

出張の為に移動中なのだけど、新幹線を途中下車して寄ってくれるとのこと。

会うのはもう随分と久し振りで、長男が生まれて少ししてから一度、上京した折に会ったきりだから、もう四年近くも会っていなかったことになる。

僕が結婚して引っ越しをする前は御近所だったこともあり、しょっちゅう会って取り留めのない話をしたりして一緒に過ごした。

友人の仕事帰りに待ち合わせてそのまま食事に出掛けたり、或いは仕事中に抜け出して珈琲を飲んだり。

時々は晩に珈琲道具一式を持って食後の一杯を淹れに来てくれたりもした。

ポットに入れられた熱々の旨い珈琲がポストに投函されていることさえあり、そんな時は「珈琲入れといたよ」とメールが入る。

今改めて自分の日記内を「ポスト」というキーワードで検索してみたら、この友人から珈琲だけでなく、茶菓子やフルーツ類等、ありとあらゆる物がポストに届いていたのを思い出した。

 

いつも突然の訪問で、友人は少し申し訳なさそうにするのだけれど、一度も迷惑に思ったことはない。

そればかりかこの「突然の訪問」が暫くないと、何処となく物足りないというか、寂しかったものだ。

僕は友人が多い方ではないし、人付き合いもけして良くはない。

連絡をまめに取ったりもしないけれど、数少ない友人達は今もこうして時々は訪ねてくれるし、会えば数年のブランクなどまるで嘘のように、少しも変わらず一緒に過ごす時間を愉しむ事が出来る。

とても恵まれているのだと思う。

 

久し振りに訪ねてくれた友人の前には、あっという間に積み木やおもちゃの山が出来た。

子供達が代わる代わる絵本やお気に入りのおもちゃを持ってきては友人の前に積み上げて行く。

膝の間に割って入って甘える。

下の子などは勿論初対面の筈なのに、遠慮会釈無く甘えていた。

 

僅かな時間だったけれど、とても嬉しい時間だった。

互いに、時には大切な人を見送らねばならない歳になった事を嘆いたりもしたけれど、互いが元気で居るうちは、多分この先も、何年経っても、こうして共に過ごす時間はこれまでと変わらず、愉しいものになるだろう、と確信する。

老いて尚、笑い合う事の出来るだろう友が居る事が、嬉しく誇らしい。