気が付けば何ヶ月も日記を書いていなかった。 体調は相変わらずだけれど、薬の使い方にも慣れて随分と巧く対処出来るようになった。 数回の検査で得られたのは、頻脈の原因はおそらく心臓疾患にはないという事と、 甲状腺の異常でも、肝炎でもないという事。…

四度目の受診。 処方された薬がよく効いて、心拍は落ち着いている。 息切れは相変わらず。 超音波検査というものを初めて受けた。 ホルター心電図に表れた様な、日に数度の頻脈の原因は特定出来なかったが、 超音波検査の結果からも心臓に重篤な障害の兆候は…

空港で荷物を失す夢、冷蔵庫が開いたままになっていて、中の物が全て腐ってしまう夢。 薬の影響で日中とても眠い。 無理をして起きていても、時々ふらふらと意識が何処かへ跳んでいる様で、時間の経過が判然としない。 時々転た寝をしてしまうのだけれど、そ…

先週だったか、心電図や採血したものの分析結果を聞きに病院へ行った。 ホルター心電図からは狭心症や心筋梗塞等の顕著な兆候は見られないが、 安静時に時々心拍が140を越える頻脈が日に数度あり、はっきりとした原因が判らない。 血圧も下がらないままなの…

四月の中頃に大したことのない風邪を引いて、 大したこともないのに臥せっているのは癪だと思いながら、 それでも早く治してしまいたくて大人しくしていた甲斐もあって、 風邪はすぐに良くなったのだけど、 久し振りに起き上がって近所のスーパーまで買い出…

陶芸作家の北村公正氏にお願いして造って頂いたチィさんが届いた。 氏の作品を初めて観たのはクリエイターズマーケットで、 細部まで観察して緻密に作り込まれた亀や蛙や魚などの小さな生き物を観て、 小手先の器用さだけではとても造れない生き生きとした造…

一年前と同じ、穏やかな陽気。 去年の今日はチィさんの骨壺を抱えたまま、近所の寿司屋で昼食を摂った。 真っ直ぐ家へ向かうのがどうにも寂しく、帰ってしまったら、 食事の支度などする気分にはとてもなれそうもなかった。 隣の椅子にチィさんの骨壺を置い…

一年前の三月二十二日は晴れ。 暖かな日差し。 穏やかな春の始まり。 チィさんの骨壺を抱いて、桜の木の下に立った。 明日で丁度一年になる。 チィさんのことを想わない日はない。 柔らかな背中を ざらざらした舌を 物憂げな目を 静かな佇まいを 心許なげな…

その二

寝起きでぐったり疲れているというのも妙な話だけれど、 少しも休まった気がしない。 居間の絨毯に横になった途端に、また眠ってしまった。 前の夢で見た家にまだ居て、今度は昼間の様だった。 僕は家の外で自分の布団を探し歩いている。 それは何故か近所の…

何処か知らない部屋で夜を明かすことになったが、 その部屋には色々なものが訪ねて来る。 皆勝手に入って来て好き勝手に過ごし、去ってゆく。 猫や小さなものたちが来るのはかまわないのだけれど、 夜も更けるととても大きなものまでが入って来て、 僕と妻を…

妻も僕も小さなものが好きだ。 爪の先に乗るほどの銅製のロボットや工具類のチャームを見付けて、 好きそうなものがあるよ、幾つか注文してみようか、と誘って 代金の振り込みをした。 注文を終えると、振込先や、振り込みが済んだらその旨連絡をするように…

親しい友人が集まって、珍しくうちに泊まる事に。 夜も更けて話し込んでいると、何処かから微かな水音が聞こえる。 気になって洗面所の方を見にゆくと、 水道管の破裂か何かで足許には勢いよく水が溢れ出してきている。 これは困った、どうしようと思ってい…

夢の中で、僕は死んだ猫の遺骸を抱いて彷徨っていた。 長毛で白く大きな猫の遺骸は、手脚を伸ばしたまますっかり固くなっていて、 僕はそれを急いで、冷たくて清潔な水の中に沈めてやらねばならない。 そうしておけば猫の遺骸はいつまでも腐り出さず、 もし…

クリスマスに、妻が僕に内緒でチィさんの写真集を編集してプレゼントしてくれた。 photobackというウェブサービスを利用したらしいのだけど、 年が明けて、その写真集がphotoback「今月の一冊」に選ばれました、との連絡が届いた。 本を受け取った時も嬉しか…

イラストレーターのかなもけんさんが描いて下さった家族の肖像。 チィさんのお骨を抱いて戻った日、真ん中のチィさんの絵が届き、 とても嬉しくて、本当に嬉しくて、 それから長い間枕元に置いて、毎朝毎晩この絵を眺めていた。 壁に掛けてからも、ふとした…

旅の事で書き留めておきたい話が沢山あるのに、 どうも体調が優れず、日が経ってしまった。 空港からバスに乗る際、小銭がなくてまごまごしていたら、 苛立たしげに「もういいからさっさと乗れ」と言われた事。 バスの運転手は少々邪険な態度だったが、 「金…

泊めて頂いたお家は、作家のいしいしんじさんの 米国での翻訳者である、ボニーさんのお家。 とても不思議な魅力に溢れた方で、 ボニーさんの周りには、いつも何かしら不思議なことや 素敵なことが巻き起こっている気がする。 身の回りに物語を紡ぎ出してしま…

一週間、ニューヨークに滞在した。 と言っても宿泊したのはブルックリンで、 二日間はホテルに、残りの五日間は知人宅にお世話になった。 前回渡米したのはもう随分と昔の事で、 その頃とはすっかり様相が違うと聞いていたけれど、 空港からブルックリンへ向…

喉が酷く痛むと思っていたら、熱が出た。 臥せっていると、チィさんの事をよく考える。 横に来て不機嫌そうな顔で退屈そうに寝そべったり、 咳をすると億劫そうに頭を上げて煩そうな顔をこちらへ向けたり、 何もない座布団の上に、その仕草の一つ一つを はっ…

チィさんが生き返る夢。 あまり喜ばしい夢とは言えなかった。 元気になって生き返るのではなく、 亡くなる直前の状態で戻って来たので 今度は別な手段で何とか繋ぎ止めようと必死に足掻いている。 しかし別な手段といっても縋れるものが他に見付けられるでも…

チィさんの夢を見た。 チィさんが外に出てしまって、それを必死に探し廻り、 追い縋る様な夢だった。 居なくなってしまってからもう随分時間が経ってしまったし、 もう二度と会えないかも知れない、と思い始めていた時に 障子に影が映った。 慌てて窓を開け…

チィさんの月命日。 もう一月経ったのかという思いと、 まだ一月しか経っていないのかという驚きとが混在している。 つい昨日の事の様に辛く、もう何年も会えないでいる様に永い。 チィさんの闘病中にサプリを送って下さった方がいて、 そのサプリはその方が…

チィさんが生き返る夢を見た。 と、言っても肝心のチィさんが出て来ない。 かなりの部分を忘れてしまって思い出すことが出来ないのだけど、 チィさんが戻って来ようとしている、 だけどあと少しのところで巧く行かなくて、 急いで何か適切な処置さえ施して貰…

時間が経てば経つほど辛くなるのは何故だろう。 小さな額に何度くらいキス出来たかな 千回か一万回か、きっともっとした気がするし、 それでもまだ少しも足りない。 そろそろ化けて出るくらいはしてくれてもいいのになあ。 羊毛でレリーフを作った。 近所の…

チィさんがお世話になった病院へ、御礼の御挨拶に行く。 入り口でお茶菓子を渡して頭を下げると、 まだ病院の奥にチィさんを預けているような、 不思議な気持ちになった。 帰りのバスを待ちながら、どうしても 最期にチィさんを迎えに行った時のことで頭がい…

悪い夢ばかり見る。 夢の中でもいいからもう一度チィさんに会いたい。

「猫鳴り」という本を読んだ。猫鳴り (双葉文庫)作者: 沼田 まほかる,ヌマタ マホカル出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/09/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 56回この商品を含むブログ (42件) を見る チィさんが入院した頃に書店で手に取り、 読むのが辛い…

もっとずっと以前から、まだチィさんが元気で、 家の中を駆け回って僕を追いかけっこに誘ったり 満ち足りた表情で日向ぼっこをしている時分から、 何度も繰り返し悪夢に見て魘されたり、 時々は自分でも滑稽になるくらい畏れていた事が、 いざ現実に起こって…