空港で荷物を失す夢、冷蔵庫が開いたままになっていて、中の物が全て腐ってしまう夢。




薬の影響で日中とても眠い。
無理をして起きていても、時々ふらふらと意識が何処かへ跳んでいる様で、時間の経過が判然としない。
時々転た寝をしてしまうのだけれど、その度に妙な夢を見る。
帰国の途中で、旅の思い出がいっぱい詰まったトランクを見失う夢。
旅の疲れが出て色々な事に気が回らず、普段ならしない様な失態を繰り返している。
人混みで何度も人にぶつかるし、自分だけが流れに逆らって別な方へ行こうとしている様に感じる。


何処に行き、何処に帰るのか判然としないが、僕は旅を終えようとしている。
経由した異国の空港で自分が乗る便を待つ間に、持ち物の殆どが詰まったトランクを見失った。
何処かに置き忘れたのか、盗まれてしまったのか、それさえも判らない。
必死に探し廻るが、不慣れな場所で言葉も不自由な上、疲れ切っていて、
もう二度とあの荷物を取り戻す事は出来まい、と諦めた気持ちになる。
旅で手に入れた様々な物、土産にする筈だった物、他にも大切なものが色々と詰まっていた。
何処かに忘れ去られて打ち棄てられている姿を想うと、酷く空虚な気持ちになる。
旧く硬い木製のベンチに沈み込んで、自分自身も雑踏の騒音に掻き消されて行く様に感じる。
そろそろ僕の乗る便が来る頃だろうか、それとももう発ってしまったろうか。
それさえもうどうでもよい事のように思う。





冷蔵庫の扉が開いたままになっている。
氷は溶け、かつてアイスクリームだったものが流れ出して来ている。
中に入っている物が腐臭を放っているが、家人は一向に気に留めない様で、平然としている。






冷蔵庫の扉を開け閉めする音で目が覚めた。
製氷室から氷を取り出している様だ。
どうしたのだろう、家人はまだ帰らない時間の筈だが、
と思いながらふらふらと起き上がってキッチンへ行く。
誰もおらず、家の中は静まりかえっている。


夢と現実の境が曖昧になってきている。