あなたに届く事を祈って

少し気分が明るくなってきた、と聞いた直後から
ぱったりと連絡が途絶えた。
不本意な状況下に置かれ、押し寄せてくる不安や焦燥感、
無気力に苦しめられているかも知れないと思うと胸が痛む。


希望を持とうとしていた矢先に
それを踏み躙られるという事を何度も繰り返されたら、
どんな強靭な精神力の持ち主でも簡単に心が折れてしまうだろう。
しかし、何度折れたって構わない。
いつかまた気持ちを強く持つ事が出来る日は必ずやって来るのだし、
誰だって自分の生き方を、日々選択しながら生きて行くしかないのだから。


どうか、自分の選択を恥じたり、自信を失ったりしないで欲しい。
いつも堂々と、自分に誇りを持っていて欲しい。
抑圧や無理解に負けないで欲しい。
どんなに踏みつけられても、あなたはあなた以外のものになったりしない。
僕はあなたが誰にも奪い去れない輝きを持っている事を知っているし、
それはこんな事で変わってしまう事など絶対にあり得ない、
あなた自身の本質だ。


もしいつか、自分の足で立ち、勇気を出して一歩踏み出すなら、
僕の手はいつも、あなたのすぐ側に差し伸べられている事を
どうかいつまでも忘れないでいて欲しい。
僕の手だけじゃなく、あなたが見ようとして来なかった無数の手が
いつもあなたの周りを取り巻いている。
目を開けばそれらはいつでも掴める場所にあり、
聞く気にさえなれば、それらの声はいつでもあなたの耳に届く。
独りじゃない事に気付いて欲しい。
少しだけ心を開いて、誰かに打ち明けてみて欲しい。
苦しい胸の内を。辛い日々を。
誰もが耳を傾けてくれる。
誰もが手を差し伸べてくれる。
それらはいつか、あなたが自分自身の足で立とうとした時、
掛け替えのない宝となるだろう。


自分を責める事で、癒えない傷にしてしまわないで欲しい。
何も出来なかったと自信を失ったりしないで欲しい。
あなたはまだ歳若く、戦う術を知らぬだけだ。
食べて、寝て、休息して、いつか元気を取り戻して欲しい。
その時が来るまで、僕はずっと手を差し伸べたままでいよう。




優しい色合いで描かれるあなたの絵には、
いつかきっと、凛とした強さが加わる事だろう。
あなたの周りの誰もがそれを願い、その日が来るのを心待ちにしている。
どうか希望を失わないで。
描く事をやめないで。





あなたの側にはいつも風変わりな味方が居る事を忘れないで。
その気にさえなれば、人生はいくらでも楽しめる。
あなたの人生は、まだまだ、始まったばかりだ。