悪筆

家守を入れる為に誂えてもらった桐箱が
少々大き過ぎたかもと気になったので、
友人のパッケージデザイナーに見てもらったら
丁度良い大きさであるとのお墨付きを貰い、一安心。
残る悩みの種は「箱書き」だ。
僕の字は、目を疑う様な酷い悪筆で、
恥ずかしくってとてもじゃないが箱書きなど出来ない。
そう話したら、友人が「左手で書くといいよ」と言う。
冗談だと思って聞いていたらそうじゃなくて、
利き手の方で書くとどうしても巧く書こうという意識が邪魔をして、
良い字が書けないから、という理由で
利き手ではない方でなるべく筆の端を持ち、
無心で書く、という方法なのだそうだ。
なるほどなるほど。
今更利き手でどんなに真剣に書いてみたところで、
一日二日で筋金入りの悪筆が直る筈もなく、
ならばいっそその方法を試してみるか、などと考える。
もしも誰にも代筆が頼めなかったらそうしてみよう。
いっその事彫るのも左手だけで・・・・