ある大学に棲む猫のお話

長い長い年月を
その大学の敷地内に留まり過ごすうち、
校舎を我が家、校庭を厠と定めし風変わりなその猫。
名を、ミケという。


いつしか地階に、時に階段を上り、
神出鬼没に各教室を訪ねては
時に父兄の様に授業参観し、
時に教授が教鞭を取るかの如く黒板の前に立ち、
媚びる事なく毅然と構え、
行儀の悪い生徒には容赦なく愛の鞭をふるう。


生徒たちからはいつしか「ミケ先生」と呼ばれたり。