テレビを点けたまま眠ってしまった。


一度消すと次はいつ点くんだか判らない様な
そんな気紛れなテレビだから、
何となく消すのが惜しいような寂しいような気がしてしまう。
別れたら次にいつ会えるか判らない気紛れな恋人の様で
少し嫌だ。


明け方夢現で、テレビの中から
男性の元気の良い掛け声が聴こえた。
その掛け声にぴったり合わせたみたいに、
チィさんが合いの手を入れる。


「はいっ!」
「にゃー!」
「はいっ!」
「にゃー!」
「はいっ!」
「にゃぁーーー!!」


最後にひとしきり長く鳴いて、チィさんの声が遠ざかって行く。
合いの手を入れながらテレビの前を駆け抜け、
一階へ降りて行ったのだろう。


合いの手の間合いがあまりに見事だったから、
僕は夢の中に戻りながら笑った。





明け方急に寂しくなるのか、
深閑とした静けさが不安にさせるのか、
一騒ぎしてベッドへ飛び乗り、
僕が目を開けて声を掛けるか触れるかすると、
やっと安心した様にまた静かに丸くなる。


僕はそれですっかり目が醒めてしまう。
気持ち良さそうに丸くなっているチィさんを
恨めしそうに横目で見ながら、
シャワーを浴びて何とか起きる準備をする。


いつもの朝の風景。