悪太郎くんと善次郎くん

悪太郎でーす

根が悪党でも、それを自覚していて
悪事を働かない様にしている悪太郎くんと、
根は善人で全く悪意はないのだけれど、
善人なだけにそうとは気付かず
人を傷つけてしまう事がある善次郎くん。


どちらを友達に選ぶか考えてみた時、
自分なら迷わず悪太郎くんを選ぶだろう、
と 思っていた。


悪党だろうとどケチだろうと、
自分の欠点を自覚していて、
それが露呈せぬ様に必死に自制している人が、
僕は好きだ。
清廉潔白で聖人君子の様な人よりも、
余程親近感が持てるし信用も出来る。


そして、自覚も覚悟もなく行われた事が
結果的に悪事となってしまった場合の
「そんな気はなかったのに」という顔が 
とても嫌いだ。
嫌いな癖に、
時折自分もそんな顔をしている様な気がするのが
きっと夢見の悪い原因だろう。
悪事はある種の覚悟を持って行われるべきなのだ。




しかし、
悪太郎くんがきちんと自制出来ているうちは良いけれど、
何らかの理由で自制出来なくなった場合、
やはり根が善人である善次郎くんの方が、
周囲を不幸にする事態は発生し辛い訳で、
安全な人ではあるのだ。
という事を考えざるを得ない事態を目の当たりにし、
少々混乱気味。


これまでの様に、悪太郎くんに
「自制出来てりゃ人でなしでも悪党でも、かまやしないさ。」
とは、もう言えないかも知れない。




闇を知っているからこそ
そちらへ踏み込まない様にする事も出来るのだ、と思う反面、
知り過ぎていては、一線を越えない様に自制し続けるのは
至難の技ではないのか、とも思う。