鎌輪奴

かまわぬ

台風の影響で酷い雨。
雨音をぐつぐつ煮える様だと言った人を思い出す。
雨の日はよく眠れると聞いた。
きっとぐっすり眠っている事だろう。
僕はと言えば、夜通し雨漏りの始末に追われた。
数時間もするとバケツ一杯の水が溜まる。


気圧が下がると、人は不安になる様に出来ているらしい。
そうかも知れない。
雨の日は思い出す事が多い。


嬉しいお手紙と贈り物を頂く。
彫り上げた家守はすっかり新居に馴染み、
日々お勤めに励んでいるとの事。
「いってきます」「ただいま」と声を掛けてもらい、
可愛がってもらっている様子が知れて、嬉しくなる。


贈って頂いたものの中に、「鎌輪奴」と「斧琴菊」の柄の手拭いがあった。
かまわぬ、と遣り過し、善き事を聞く事が出来ます様に、
との願いをこめての贈り物、感じ入った。
「鎌輪奴」には「水火も辞せず、この命、かまわぬ。」と、
男気を表す意味合いも含まれている。
潔い生き方。
今の自分に一番必要なものかも知れない。