プルトップで車椅子?

下戸の筈が
何時の間にこんなに酒瓶や缶を貯め込んだのか
誰だこんなに呑んだのは、などとぶつぶつ言いながら
瓶、缶の回収場所に持って行った。
それぞれを仕分けをしていると、
後ろから「呑みますねぇ…」と声がした。
振り向くと、派手な綿入れを着込んだおばあさんが立っている。
「洋酒の瓶がそんなに沢山…お兄さん洋酒しか呑まないの?
 JINROもいいよ、眞露。」 と、何故か眞露を勧められる。
「はぁ…洋酒が多いですねぇ…」と曖昧に返事をして仕分けを続けたが、
おばあさんはにこにこ笑いながらいつまでも立ち去る様子はない。
「缶はここよ、ここ。」とプラスチック籠を指差している。
「はあ…どうも…」と指された籠に缶をガラガラと入れると、
入れた先から取り出して、手際良く大きなビニール袋に移して行く。
何をしているんだろうと思って首を傾げていたら、
「缶の蓋を集めてるのよ。それで車椅子を貰うの。」と説明してくれた。
え、それって都市伝説じゃ……と思ったが、
おばあさんがにこにこしながら缶を選り分けているのを見ていたら
何も言い出せなくなってしまった。


その後少し調べてみたら、
満更事実無根の都市伝説とも言い切れないらしい。
おばあさん、本当に貰えるといいなあ。