長い長い夢を見た。
こんなに疲弊する夢は久し振り。
凄惨で陰鬱な内容だったが、
印象に残った場面だけを記しておく。


巨大な倉庫の様な建物が、アートイベントの
ギャラリースペースとして使われており、
僕はそこで働いているらしかった。


プレオープンの日、
招かれた業界の関係者達が入って来る。
入り口ではパンフレットの入った黄色いビニール袋が配布されている。
ビニール袋の中には、パンフレットと共に
濃いブルーのラバー製のガスマスクが入っていて、
パンフレットを見た来場者達はそれを被り始めた。


スーツ姿や小奇麗な身なりの男女が大勢、
手には黄色いビニール袋を提げ、
青いガスマスクで顔をスッポリ覆って立っている。
真っ黒な偏光レンズの嵌められたマスクは、
蟲の複眼か何かの様に無表情だ。


僕もそのガスマスクが欲しい、と思った。
無くなってしまう前に一つ貰っておこう。
僕は足早に会場の入り口へ向かった。




場面は変わって、
青いビニールシートに包まれた巨大な爬虫類。
その大きさは、竜と呼んでもよいほどだ。
傷ついてぐったりしていたが、急に身を捩って暴れだし、
梱包を解いて逃げて行こうとしている。
腹は裂け、所々骨が飛び出している。
青いシートの中には真っ赤な血溜りが出来ていた。
近くに立っている人物に、まだ追うか? と訊ねた。
ドラゴン狩りをするのか? と。
その人物はうんざりとした表情で
「もういい」と答えた。
僕もそう思っていた。疲れ切ってうんざりしていた。
逃げて何処か別な場所で人を喰ったって、知るもんか。
もう逃がしてやろう。僕が殺す事はない。




二つの場面は繋がっている。
血が流れる様な夢は、そう度々見る訳ではなくなったが、
やはり見た後はぐったりしてしまう。