九月に入って少し暑さも和らいだ。
狂った様な暑さから解き放たれて、
チィさんもぼくも
ほっとして少し気が抜けたのか
呆けた様な間延びした顔をしている。


お互いに歳を取ってそれなりに不調はあるけれど
これからは暫く優しい季節が続く。


薄手のコートが着られる様になったら、
もしチィさんの御機嫌が良ければ、
何処かへ少しだけ旅に出掛けよう。
文庫本と新しいカメラをポケットに入れて。


もうすぐ秋だ。