少しずつ暑いと感じる時間が増えてきて、
少しずつ不機嫌に過ごす時間も増えてきた。


昔から汗ばむのが大嫌いで、
夏なんて永遠に来なければ良いのに、
と思っている所為もあるけれど、
眉間に皺が寄る一番の原因は
年々チィさんの食が細くなって行くのを
この時期、特に痛感するからだ。


夏の装いになったチィさんは、益々か細く見えて、
この夏も無事に遣り過せるだろうか、という僕の不安を、嫌というほど煽る。
抱けば日増しに軽くなる様に感じるし、撫でてもブラッシングをしていても、
ゴツゴツと骨に当たる様で、時折不安で叫び出したくなるが
チィさんはそんな事など気にする様子もなく、
どんなに熱心に色々な物を勧めてみても、
一口二口気紛れに食べると、「もうイラネ。」とばかりに
ソファーに戻って寝てしまう。


もう随分長く猫としての時間を生きてきたチィさんに、
人である僕が色々と無理強いする事は、もうあまりしたくないから、
仕方がない事とは言え、もう少しちゃんと食べてくれないと
こちらの食欲までなくなりそうだ。




本当に辛い季節がやって来るのはまだまだこれからだというのに
眉間の皺は深くなるばかりだ。