寝酒のつもりで
コアントローをちびちび飲っていたら
知らぬ間に少し酔ったらしい。
氷を取りに行こうと立ち上がってよろけ、
あ、酔ったのかな と気付く。


まだ酒を飲むと喘息の発作が出る事があるから
用心深く様子を見ながら飲んでいるのだが、
昨晩は調子が良かったのか、グラスを空けても
いつもの様に喉が詰まってくる感じがしない。
それが嬉しくて、ついおかわりをした。


最初の一杯をロックで飲んで、
次の一杯はレモンを搾りソーダで割って飲んだ。
さっぱりした口当たりで美味しい。
それでつい、いつもより多く飲み過ぎたのだ。


そして思い出した。
僕は酔うと眠くならずに目が冴えてしまうのだった。
酔う手前で止めておけば気持ち良く横になれたものを
酔ってしまうと横になってじっとしていられない。
ふらふら外に出て行きたくなるのを何とか我慢して
本を読んだり音楽を聴いたりして気を紛らわせる。


こんな時に外に行くとろくな事にならない。


酔い癖は人によって様々で
その時の気分によっても変化するから、見ている分には面白いが、
自分の酔い癖はどんなかな、と思うと
余計な事まで思い出して顔が熱くなる様な気がする。


学生の頃、下宿先の僕の部屋には
ペンキで何処かの金融会社の広告がベッタリと書かれた
簡素な作りのベンチが置かれていた時期があった。
目が醒めたら部屋の中で工事現場の点滅灯がチカチカと赤い光を放っていて、
二日酔いの頭が余計に痛んだり、
頭にオレンジ色した三角の帽子(パイロン)を被って寝ていたりした。
点滅灯は次の日返しに行こうとしたら
コンクリートの台座が重くて持ち上げるのにも一苦労だった。
近所のバス停から持ち帰ってしまったらしいベンチも、
一人で抱えるのは簡単ではなかった。


人は酔うと奇妙な事をする。








・・・・・酔わなくても奇妙な事をする?