事故

吃驚したねえ

家の前で事故があった。
原付と車の接触事故。
先週も同じ場所、似た様な状況で事故があったばかり。
どちらも一時停止を怠るのが原因らしい。


駅前で然程見通しが悪いとも思われないのに、よく事故を目にする。


車の運転者は若い男性で、バイクには年配の男性が乗っていた。
車の男性が「大丈夫ですか!」と声をかけ、
倒れている男性の頭の下にクッションを差し入れているのが見えた。
引っ込めた手が赤くなっていた。


すぐに人だかりが出来た。
救急車も警官もなかなかやって来ない。
車の男性は、最初は赤く染まった手を気にしている様子だったが、
段々に動揺してそれも忘れてしまったらしい。
その手でしきりに額の汗を拭った。


随分時間が経って、漸く救急車が来て怪我をした男性を搬送して行った。
更に時間が経って、警官達がやって来て車の男性を連れて行った。


点々と落ちた赤いものを、奇妙な形のチョークの輪っかが囲んでいる。
後にはそれだけが残った。


道行く人はそれを目にすると、不安げに足を止め、
暫くすると今度は足を速めて、奇妙な形をしたチョークの輪を
大きく避けて通り過ぎて行く。


きっと忌まわしい事を思い浮かべてしまうだろう。
自分や身の回りの人達に降り懸る災難が頭を過るだろう。
不安になるに違いない。


こうした事が、自分や近しい人達にも、
何時何処で起こっても不思議はないのだという事を、
こうしてまざまざと見せつけられると、
何とも言えない気持ちになる。


何も起こらない事、はそれだけで充分に素晴らしいと思い出す。