懐かしき旧友との再会

頼りになる相棒とも再会

やってしまった。


嫌な兆候はあったのだ。
今にして思えば。


新しい米の袋を開封して念入りに米を研ぎ、
炊飯器のスイッチを入れ
足元の荷物を避けて
腕を伸ばして米を棚に仕舞おうとした瞬間、
背中に刃物で刺されたかの様な
鋭い痛みが走るのが解った。
まだ刺された経験はないけど。


嫌な感じはしたが、認めたくなかった。
気付かぬふりで遣り過してしまいたかった。


何食わぬ顔で他の作業を片付けながら、
なーんだ、大丈夫じゃん。動けるじゃん。
まだまだイケルね!俺!
と、強引に捻じ伏せた


つもりだった。


足元にゴミが落ちているのを見つけ、
ひょいと片足を上げて身体を横に倒し
軽快に華麗にゴミを拾い上げようとした瞬間、
「そんな事で誤魔化せたとでも思ったか」
とでも言う様に、留めの一撃が振り下ろされた。
途端に全身が震えるような、
疑り様の無い激しい痛みが襲って来る。


やあ、久し振りだね。
相変わらず嫌な奴かい?
出来れば君とは二度と会いたくなかったよ。


短い挨拶を交わした後、
腐れ縁の旧友、疑苦利腰之介くんとの感動の再会にむせび泣くうろね。






見事な厄年だ。
でもおみくじは大吉だったからきっと死にはしないだろう。
笑うと痛い。
痛いと笑ってしまう。



今はただ、疑苦利腰之介くんにお引取り願える時を待ち望んでいる。
悪友ときっぱり縁切りするのは、なかなかに難しい。