さっき夜道を歩いていて、
空気が冬らしい匂いに変わっている事に気付いた。


何年も前
まだ別なところで暮している頃、
突然友人がカセットコンロと土鍋を持って
「鍋しよう。」と訪ねて来た事があった。


ぼくは仕事帰りで、とても疲れていて
あまり愛想良く迎えられなかった。
きっと口数も少なかっただろう。


それでも友人は美味そうに鍋をつついて
満足げに帰って行った。


もう少し愛想良く迎えてやれば良かったかも知れない。
もう少し馬鹿話でもすれば良かったのかも知れない。


今ならもう少し優しく出来ただろうか。


寂しかったのかな、と思う。
ちょうどこんな乾いた匂いの季節だった。
その所為で思い出したのだ。
人恋しくなる季節なのかも知れない。