ニュース

まだ実家で家族と暮らしていた頃、
ニュース番組を観ながら食事をする習慣があって、
僕はそれが大嫌いだった。


なるべくテレビ画面が目に入らない方を向き、
耳には心の耳栓をする。それでも少し気を抜くと、
聴きたくもない話が流れ込んで来て、
途端に食べているものの味を奪い去って行った。
好物の筈だったものまでが、砂や粘土を噛んでいるような
味気ないものに変わってしまう。


事故で亡くなった人の話。
誰かを殺した人、殺された人。


目を背けてみても消える訳じゃないのは承知しているけれど、
知る事が大切なのも解っているけれど、
食事の時くらい、いいじゃないか。


毎日何処かで誰かが車に轢かれたり殺されたりしている。
明日は自分や家族や友人が加害者になったり被害者になるかも知れない。
無表情なニュースキャスターが読んでいる原稿は、
何処か遠い別世界で起っている事ではないのだ。
よく解っている。よく解っているからこそ、
それらを少しの間、気持ちの中から閉め出す時間が必要なのだ。


明日も過酷なニュースは流れるだろう。
少し気分を変えよう。
良い事だって何処かで起ってるに違いないんだから。





気分直しに役立った
http://www.youtube.com/watch?v=Sg9x5mUjbH8