人形

なによアンタ。

輸入玩具店の閉店セールを覗きに行って、
半額セールになっていた人形を買った。
LIVING DEAD DOLLS という、
棺に入った悪趣味な人形たち。
不気味だと不快に思う人も
不謹慎だと感じる人も居るかも知れない。


人形を恐れたり気嫌いする人*1 は珍しくないらしい。
所謂玩具、なら平気で、フランス人形や市松人形は駄目、という人や
人形と名のつくものは全て駄目、という人もあるらしい。
少しだけ解るような気もする。
以前に、人形をテーマにしたお化け屋敷*2 に入った事がある。
暗い室内に大きな雛壇のようなものが設置され、
夥しい数の市松人形が並べられていた。
只それだけで、他には何の仕掛けもない。
お化け役の人が出て来て脅かす訳でも、
気味の悪い音が聞こえて来る訳でもなかった。
静かな薄暗がりの中、人形たちが同じ方向を向いて並んでいる様子は、
他の部屋のどのアトラクションや仕掛けよりも迫力があって怖かった。


何故怖いと感じるのか、にとても興味がある。
確かに怖いのだけど、それはどうしてなのか。
それが気になるから、人形も気になるのかも知れない。


小さな頃からミニカーよりも人形の方が気になった。
車の玩具を欲しがった記憶はまるでない。
ソフトビニール製の怪獣ばかり欲しがった。
それも左右対象のデザインでなければならない。
左右非対称の固定ポーズはどうしても嫌だった。
側にあると何故だか居心地が悪い。興味が持てない。
いくらかましにはなったが、今でもそういう傾向はある。
何でも左右対象のデザインが安心する。
何故だかは解らない。
左右非対称でも完成された美しいデザインのものは沢山ある。
それは解るのだけれど。


自分の事なのに解らない事がまだまだ沢山ある。




  


  

 

*1:puppetphobia、人形恐怖症

*2:楳図かずおが監修したもの。確か「安土家の祟り」というタイトルだった