さかなさかなさかなーー
さかなーをーたべーるとーー

という唄が頭の中を駆け巡るので、
今日の昼食は大戸屋で金目鯛の一夜干定食。


自宅では滅多に魚を食べる機会がないので
大戸屋に行くと必ず魚料理を選んでしまう。
魚料理くらい自分でもしてみれば良いのだが
なかなか手が出せずにいる。
サッサッと手際良く捌いて上手に調理して見せれば
少しは男振りも上がりそうなものだが
僕はどうにも不器用で、食べるのも非常に下手くそだ。
散々箸で突付き回した挙句
巧く身をほぐせない事に苛立って
骨ごとバリバリ噛み砕こうとして
ごつい魚の骨を喉に刺して涙目になったりする。



僕がまだ幼い頃、大正生まれで戦争経験者の父は、
「よく噛めば魚の骨くらいどうと言う事はない。」
と言って、骨が刺さっても痩せ我慢をして見せた。


「“武士は食わねど高揚枝”だ。腹が減っても顔に出すな」
「男なら痛くても多少の事でいちいち口に出すな」
そういう教育を受けた。
素直にその言葉を受け入れた訳ではなかったが
その気はなくても幼い心に沁み付いた「痩せ我慢の癖」は、
僕を随分長い間苦しめた。


僕は武士でもないし、
男でも痛いもんは痛いし腹が減ればひもじいのだ。
痩せ我慢は身体に良くない。



さて、明日は何を食べようか。