時々高カロリーの栄養補助食を摂らせて様子を見ている。
一度に多く飲ませ過ぎると水分量が多い所為かおなかがゆるくなりがちなので、
一缶を最低三度に分けてシュリンジで飲ませる。
それを二三日置きに続けてみている。
夏が越せればきっとまた少し食欲も戻るだろう。
最近はすっかりスタンドの真下で暖まるのがお気に入りで、
そんなに白熱灯の近くに顔を寄せたら眩しいし暑いだろうに、と
心配になってしまうくらいぴったりと身を寄せて満足そうにしている。
一時の走り回って元気一杯な様子から
少し落ち着いておばあちゃんらしくなった。


涼しくなったらまた走り回って吃驚させてくれるだろうか。
いや、走り回らなくったっていいから、寝てばかりでもいいから、
まだまだここでのんびりしていてほしい。


シャワーを浴びているとバスマットの上から
この世の終わりが来たかの様な声でドアを開けろと鳴く。
食事を始めると食卓に鎮座して笑わせてくれる。
どれくらい笑わせてもらったかわからない。
退屈そうな顔をして、呼んだって尻尾で微かに返事するくらいなものだけれど、
どんな時も一緒に居てくれた。
冬が来たら炬燵を用意しよう。
暖かな敷物を買おう。
僕を泣かせるのはもう少し先にしておくれ。