裏の世界には、金を積めば"人を料理して出す仕出し屋”があるらしい。
主に善からぬ事ばかりを生業とする連中の会合*1
悪趣味な富裕層の集まりに時々需要があるらしく、
調理には幾つかの特殊なスパイスと保存方法が用いられる。


善からぬ連中の会合に招かれて嫌々出席している。
邪魔になった相手組織の一人が仕出し屋によって運び込まれる。
調理済みのそれを置いて仕出し屋はその場から逃げる様に立ち去る。
幹部連中が早速に味見を始めたが、食えたものではないらしく、
皆一様に顔を歪めて口々に悪態をついた。
お前は詳しいだろうなどと壇上に呼び出され、
検分の様な事をさせられる。
僕は「ああ、古い素材を出鱈目な保存液に漬けた上に
スパイスも僅かしか使っていない。
あんたたち、騙されたんですよ(ざまを見ろ)。」
などと尤もらしい事を言って連中の怒りを煽って面白がっている様だ。
調理済みのそれは、乾いた薫製の様な姿で胸を開かれ、
空洞になった胸を包む様に剥き出しにされた肋骨は鳥籠を思わせた。
こんなもの、旨い訳がない。悪趣味な連中だ、と嫌悪感で一杯になっているが、
自分自身もこの怪しげな連中の一員である事を思い出して気持ちが沈んだ。





 

*1:依頼によっては始末したい相手を好みの調理法で料理して出すらしい