森美術館の展示で観たものの中に、
いくつかの興味深いビデオインスタレーション作品があった。
壁に5センチ四方の小さなモニターが取り付けられていて、
その中で何か蠢いている。
目を近付けてよく観ると、上下左右に分断され、また繋ぎ合わされて
百足の様な姿になったマイケル・ジャクソンが踊っているのだった。
手足をくねらせて滑らかに踊る姿は虫か節足動物の様で、
不気味で滑稽に映った。


出口付近の壁に大映しされていたチベット僧の禅問答の様子も面白かった。
ディベートゲームの訓練をしている様にも、
哲学者が討論している姿にも似ている。
音の粒子について、人生の因果、縁起について。
様々な事が掛け合いの様にテンポ良く語られる。




美術館を出た後で、マイケル・ジャクソンが亡くなった事を知った。
さっき観たビデオインスタレーション
蟲の様なダンスを思い出した。
何度も何度も繰り返し行われる滑らかなムーンウォークを思い出した。