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5:40頃起床。
キッチンへ行ったら奥さんが朝食を作りながら
太股にアイスパックを当てていた。
薬罐の沸騰したお湯をかけたらしい。
そのまま支度して会社に行こうとするので、
お風呂場に連れて行って流水でよく冷やす様に言い、
心当たりのある皮膚科の診療時間を調べる。
お湯や油での熱傷は後になって症状が酷くなる事が多い。


矢張り、暫くすると皮膚が浮いてきて
大きな水疱になり始めた。
会社を休んで病院へ行く様に言う。
寒いと言うので流水で冷やすのを止め、
アイスパックを当てて病院が開くのを待つ。
一度浮いてきていた皮膚は、よく冷やすと水疱が治まった様に見えた。


バスに乗って百貨店の上に入っている皮膚科に向かった。
平日の開店間もない店内は、まだ人影もまばらで、
眠たそうな店員たちがぼうっとエスカレーターの方を向いて
幽霊みたいに所在なげに立っている。


奥さんが診療を受ける間、僕は高校時代によく行ったビルの屋上へ上った。
いつも閑散としていて、所々錆の浮いた灰皿が据え付けてあり、
そこへは同じ学校の教師も生徒たちも、知り合いは誰も近寄らなかった。
昔とあまり変わっていない。
矢張り手入れが行き届いておらず、閑散としている。
煙草が欲しくなった。
向こうのベンチに、スーツ姿の男性が座って煙草を取り出すのが目に入った。
「すみません、一本譲って頂けませんか」と声を掛けてみようか。
しかしそれは何だか酷く奇妙な事なのかも知れない、と思い留まった。


治療を終えた奥さんはすっかり元気を取り戻していて、
痛みももう感じないという。
突然得る事になった休日を喜んでいた。

二人とも朝食もろくに摂っていなかったから、
コンパルでサンドイッチを食べた。
それから携帯電話の営業所に行って、
奥さんは予てから欲しがっていたiPhoneを買った。
僕も欲しかったのだけれど、
携帯もPHSも本体の支払いが随分と残っていて、
まだどうする事も出来ない。

スタバで持参したタンブラーに珈琲を入れて貰い、
画材屋で布用の絵の具とマーカーを買った。
帰ってから無印のエコバッグに蛇を描いた。
エコとは程遠いイメージの、禍々しい袋になった。