お友達のmutonさんに会う為、
それから御主人の個展を観る為に京都へ。
今回は鈍行での日帰り旅行。鈍行でも2時間ほど。
居眠りしている間に着いてしまう距離だが、
まだ不慣れで、寝過ごして乗り継ぎに失敗しては事だから
目を皿の様にして起きていた。


京都駅で落ち合って山崎へ移動。
落としては大変としまい込んだ筈の切符が見つからない。
mutonさんが改札で掛け合って下さったお陰で
乗り越し分の精算だけで済んだ。
改札を抜けて鞄の内ポケットを探ったら、切符はそこにあった。
さっき鞄を引っ繰り返して探した時は見つからなかったのに・・・


最初に案内して頂いた大山崎山荘美術館
建築も景観も美しく、とても気持ちの良い処だった。
庭にはバリー・フラナガンの兎。

家の近所の公園に設置されているものよりも華奢な印象。
館内には気持ちの良い風が通り抜けるカフェやテラスがある。
旧い建造物を観るのが好きなので、たっぷりと楽しんだ。
その後大山崎駅近くのカフェで昼食を摂って烏丸へ移動。
京都芸術センター(旧明倫小学校)へ。
使われなくなった旧い小学校をそのまま生かして
ギャラリーやアートスペースとして提供しており、
モルタルや木の床、タイルばりの手洗い場などが懐かしく、
小学校の頃を思い出させる。

http://uronnaneko.jugem.cc/?eid=1444

展覧会『明るい無常観-LIGHT TRANSIENCE-』で上映されていた、
のびアニキの動画が面白い。
会場にあったのびアニキブロマイドを持ち帰る。


その後も一見さんでは見付けるのが難しい画廊や店ばかりを案内して頂いた。
何処も楽しくて、あっという間に時間が経ってしまう。

光の加減が一番良くなるという時間帯を見計らって
御主人の個展が開催されているギャラリー揺へ。
これまで写真でしか知らなかった作品を直接観て、
作家さん御本人から色々なお話を伺う事が出来た。
鋳造した作品を一つ一つ指で擦り込んで銀鍍金を施す話、
そこへ至るまでの経緯、何でも気さくに語って下さる姿に
真っ直ぐで飾らないお人柄が伺える。
嬉しい事に、結婚祝いにと小さな作品を一つプレゼントして下さった。

松ヤニと蜜蝋を混ぜ合わせたWAXで精密に制作され
鋳造された小さな蜂の巣
その制作行程についても詳しく教えて下さった。
展示はしていなかったが、曲がった古釘をWAXで作り、
それをブロンズ鋳造したものを出してきて
楽しそうに見せて下さった。
ああ、この人好いなあ、好きだなあ、と思う。
同郷の友人を思い出した。
躊躇わず奥さんを褒めるのも素敵だと思った。
皆どんどん褒めたらいいと思う。


その後祇園で食事を御一緒させて頂いたのだけれど、
GWでどの店も満席。
席の空いているお店を探す為に、文字通り奔走して下さった。
お二人に全てお任せしてしまって、
何から何までお世話になり通しで、申し訳なくておろおろする。
やっと入れたお店が、小さな居酒屋で申し訳ないと言っておられたけれど、
料理はどれもとても美味しかったし
小さなテーブルに肩寄せ合ってお食事を御一緒して頂けたのが
楽しかったし、とても嬉しかった。
奥さんの方を見る時の優しいお顔を見ていると、
こちらまで暖かい気持ちになる。


夕方頃から薄曇りになって残念ながら見られなかったけれど、
良く晴れた日の四時過ぎに会場に行けば、
蓮の作品に張られた水盆に傾きかけた日の光が差し込んで反射し、
黒い衝立に美しい水紋を描き出すのを見られるそうだ。
風がそよいだり人が側を歩く事で、水紋が揺れて乱れ、
水面が静かになる事でまた完全な光の円となる。
全くの偶然が作り出したほんの十分ほどの静かな静かなスペクタクル。
デジカメで撮影した映像だけでも充分に感激したのだから、
実際に目にする幸運に恵まれれば
ほんの一時の奇蹟と静寂を体験する事が出来るだろう。
漆黒の水盆に、静かに凛として佇む銀の蓮。
京都におられる方は是非御覧になる事をお勧めします。


シリーズ企画「光と影」その1 長谷川政弘展

ギャラリー揺

長谷川政弘 金属彫刻