珈琲テロリストからの犯行声明が携帯に届く。
ポストを見ろ と。
急いで玄関脇のポストを開けてみると、
時限爆弾の様な銀色のポットに仕掛けられた
淹れ立てアツアツの珈琲。あまつさえ茶菓子までも!


僕はいつも慎重にポットを家の中へ運び入れ、
冷めてしまわないうちに速やかに処理(一気飲み)する。
気分は爆弾処理班だ。




今日初めて、爆弾処理班からテロリストに鞍替えし、
テロ行為に荷担した。


別な友人の家に珈琲爆弾を仕掛けに行くのだと言う。
首謀者がうちへ来て、これから仕掛ける珈琲爆弾の準備を始めた。
鞄から愛用の細口ドリップポットと、
手吹きガラス製のコーノ式ドリッパーを取り出すと、
慣れた手つきで、しかし細心の注意を払い、ゆっくりとお湯を注ぐ。
部屋中に広がる、挽き立ての新鮮な珈琲豆の放つうっとりする様な芳醇な香り。
思わずふらふらと手を出しそうになるが、ここはぐっと我慢して準備が整うのを待つ。


首謀者は真剣な眼差しで、ドリッパーから
予め暖めておいた銀色のポットに淹れ立ての珈琲を移して行く。
香りが逃げる前に素早く蓋を閉め、これで準備は整った。


車に乗り込んで標的の家へ向かう。
程無く目的地に到着し、ターゲットを捕捉。
抜き足差し足で標的の玄関先へ向かった。


ここで緊急事態が発生した。
玄関脇の窓が開いており、ターゲットが窓のすぐ側に立っていたのだ。
素早くしゃがんで発覚は免れたが、一瞬目が合った気がして心拍数が上がった。
しゃがみ込んだままドアノブに珈琲爆弾をセットしようと試みる。
が、ポットとクッキーをコンビニ袋に入れて来たのは大きな誤算だった。
どんなに慎重にやっても、ガサゴソと大きな音をたてる。


苦労した末 何とか任務を遂行して、
エンジンをかけたまま待っていた車に素早く乗り込み、その場を後にした。
そして徐に携帯を取り出し、ほくそ笑みながら犯行声明文を送る。


なるほど。
これは楽しい。
闇に乗じて暗躍する珈琲テロリスト。


こんな気の利いたテロ行為なら、するのもされるのも、
いつでも歓迎だ。








=========== 追記 ====================


ぅぁーーー!
迂闊だった…
今日が911だったのをすっかり忘れていた。
こんな不穏なタイトルで日記を書くべきではなかった。
思い出して不快になったり
哀しくなったりする人が居るかもしれないのに。
申し訳ありませんでした。


友人のポストにプレゼントを投げ込むような平和なテロ行為以外は、
もう二度と繰り返されませんように…。
願いと自戒の意味も含め、日記はこのまま消さずにおきます。