案山子の王が言いました
案山子と生まれてきたからにゃ
どんな鴉も追わねばならぬ


あの鴉にも子があり母があるのです
僅かな麦を啄んだとて
どんな罪があるでしょう


案山子の王が言いました
案山子と生まれてきたからにゃ
どんな鴉も追わねばならぬ


鴉を追わねばならぬなら
私は案山子でいたくない
襤褸と藁と枯れ枝に
崩れて散って消えましょう