自動人形

uronnaneko2007-07-08

友人が踊るバレエの舞台を観劇。
舞台の後半、バレエパントマイムの中に
コッペリアという演目があり、
話の筋が妙に気になって調べてみると
バレエではハッピーエンドの喜劇仕立てになっているが、
原作はE.T.A.ホフマンの怪奇幻想小説、「砂男」で、
恋した相手が自動人形(オートマタ)であった事を知り
絶望と悲しみで狂ってしまう男の末路を描いた物語。




狂おしく恋した相手の、美しく澄んだ瞳。
ある日その瞳を覗き込むと、本来眼があるべき場所には
ただぽっかりと暗い穴が穿たれており、
皮膚は硬く冷たく、語り掛けてみても何の返事も返って来ない。


愛した相手が自分の意思を持たぬ、プログラム通りの動作を繰り返すだけの
ただの自動人形に過ぎない事に気付いた瞬間の絶望や哀しみたるや、
如何ばかりのものか。
これほど恐ろしく、哀しい物語はないだろう。


原作のまま、喜劇仕立てにしていない舞台があれば、是非とも観てみたい。
心底ぞっとする様な恐怖が味わえるのではないだろうか。







コッペリアについては、以下のページに詳しい記述があった。
http://www.hi-ho.ne.jp/~illusia/jpg_dolls/dollhouse_coppelia.htm
http://www.shosbar.com/works/dance-articles/coppelia.html