発熱

忍者みたいなチィさん

ほんの僅かとは言え
今日は出なければならない用事もあるし
少しは横になっておかねばと
布団に入ってはみたのだが、
どうにも冷えきって暖まらない手足を
蝿の様に擦り合わせているうちに
何だかつまらない様な気持ちがして来て、
これはイカンと読みかけの本を手に取り、
毛布の中で器用に足先だけ擦り合わせながら読んだ。
何時迄経っても手足は冷えたまま。
ちっとも眠くならない。


それで諦めて起き出した。
年末年始に体調を崩しがちだからと気を張っていたのが、
もう宜しかろうと知らず知らずのうちに気が緩んだのだろうか。
喉の乾きを憶えて冷蔵庫からペットボトルを取り出し、
栓を開けるのに苦労して、手足によく力が入らない事に気付く。
久々の感覚に、ぁぁ、熱が出るってこんなだったな、と思い出し
可笑しい様な、情けない様な気分になった。


熱が出ようとどうしようと、
チィさんのトイレ掃除は欠かせないし、
買物にも出掛けなくちゃならないし、
食事だってチィさんがエプロン締めていそいそ作ってくれる訳でもない。


独りは気楽で自由で、少し寂しい。