いらっしゃいませ・・・・

来客があるので玄関を開けに行ったら、
玄関の鍵はすでに開いていて
カーテンがドアに挟まれて
はたはたと風に棚引いていた。


今の住まいは元々居住用の建物ではなく、
店舗用に建てられたものなので
住まうには少々不都合な点も多く、
その一つが、玄関のドアが硝子製だという事だ。
当然通りから中は丸見えで、内ドアがあるとは言え、
あまりに無用心なのでシャワーカーテンで目隠ししてあるのだ。


そのカーテンがドアから派手に飛び出している。


誰かが中に入ったのだ。
そしてカーテンがドアに挟まるのも構わず
慌てて出て行ったのだろう。


鍵は僕が閉め忘れたんだろうか。
きっとそうだろう。
そう信じたい。


以前に店舗として使われている頃には、
何度か泥棒が入っているらしいし
その気になれば簡単に入り込める作りではある。
しかし入ったところで盗る価値のあるものは何もない。
怪しげなガラクタや玩具ばかりだ。


きっと店舗として使われていた頃の客が
まだ営業していると勘違いして入り込んでしまったのだろう。


ドアを開けるとお出迎えするのはチャッキーくんだ。
仕切り窓の磨り硝子に顔をくっつけて
玄関を覗いているチャッキーくんと目が合って、
慌てて通りへ飛び出して行ったのだろうか。