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黄金の日々

先月の初め頃だったか、或いはもう少し前か。

長男が園で貰って来た風邪にやられて、寝込んだ。

咳が酷かった以外は熱もそれ程には上がらず、

とは言うものの40度代迄は行かずにぎりぎり踏み留まる、という感じではあったのだけれど。

横になると酷く咳き込んで眠れない様子なので、何度も起き出してはクッション等を積み上げて姿勢を整え、上体を高くしてまた少し眠る、というような数日を過ごすうち、疲れが溜まったのか会社で別なのを貰ったか、今度は妻が咳き込み始めた。

一緒に倒れられては困るので、いつもよりはあれこれと動き回るうちに、長男は何とか快方に向かい、それに気を許した所為か、今度は僕が咳き込み始めた。

大人の咳はなかなか治まらず、時折家のあちこちで顔を伏せてげふげふやっているうちに、とうとう次男に感染った。

最初期は大して熱も出ずに洟水と咳が少し、で治まって行くかに見えた。

大事を取って数日休ませ、二人ともすっかり元気になったと思って保育園へ。

迎えに行くと珍しく次男が大泣きしており、保育士さんが「熱が9度近くある」と言う。

慌てて連れ帰って、それからはまた二人とも園を休ませてずっと家で過ごす。

どちらかを置いて片方だけを園へ送り迎えする、という事がまだ出来ない。

だからどちらか一方が体調を崩せば一蓮托生、二人とも家に引き篭もらせなければならなくなる。

 

そんな風に、あっという間に一ヶ月が過ぎてしまう。

それが年に何度も繰り返される。

先の予定など立つ筈もない。

徹底した健康管理、大嫌いな根性論を振り翳して踏み留まろうと足掻いても、僕も妻も、結局は倒れる。

そうしてそんな時に頼る事の出来る人は、もう居ない。

あれこれと気遣って支えてくれた人は、もう居ない。

だからやっぱり、大嫌いな根性論に縋って、何とか踏み留まって立っていようと足掻くしかない。

 

ゴールデン・ウィークに入ったら、何も出来なかった結婚記念日の代わりに、子を預けて偶には二人だけで美味しい物でも食べに行こう、と算段していたのだけれど、その頃には僕の体調が最悪で、一向に治まる様子のない咳と微熱にじわじわと削り取られて、食事も喉を通らなくなっていた。

元々世間様が楽しくしている時期には家に引き篭もって静かに過ごす事の多い二人だけれど、一度も外に出られず、何一つ楽しい出来事もなく臥せっているうちに休日が終わっていくのには、流石に気持ちが鬱々とした。

二人きりで出掛けるのなんて、何時また出来るだろう。

来年か、再来年か、或いはもっと先か。

 

それでも休み明けの最後の土日に来客があり、土曜は妻が友人と遊びに出掛け、日曜はいつも子供達にたくさんの贈り物を惜しみなく与えてくれる友人が遊びに来てくれて、公園で沢山遊んで貰って嬉しそうなのを見て、随分と気持ちが救われた。

この友人はいつも本当に沢山の贈り物をしてくれる。

こんな事、身内でさえもしてくれたことがないというほどの、見返りを求めない贈り物。

御本人曰く、「趣味みたいなものだから」とは言うものの、こんなに甘えてしまっていいものかと恐縮しながら、ついつい充分なお返しも出来ぬままに甘えてしまっている。

 

 次男が二度に渡って発熱を繰り返したのは、軽い中耳炎を併発していたからであった。

投薬を続けて、今は快方へ向かっている。