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何日も酸素室の中で朦朧としているのを見ていると
本当にこれでよかったのだろうかと考える。
酸素室に入ってからもう随分になる。
よく晴れて暖かな日などは、すぐにも連れ帰って
たとえほんの僅かでもいいから
最後に思い切り日差しを浴びさせてやりたいと思う。


今日もそんな日だった。
あとどれくらいこの状態が続くのだろう、
どうしてやるのが一番苦しませずに済むのだろう、
一日中そのことばかりを考えて面会に向かった。


「チィッ」と出来るだけ明るい調子で呼んで、
痩せた身体を少し乱暴なくらいにわしわしと撫でて、
鼻の頭に「ふーっ」と息を吹きかける。
朦朧とした顔つきだったのが、少しきょとんとした顔に変わる。
頬や顎の下を撫でると、ゆっくりと首を伸ばした。
それからよろよろと身体を起こし、自分で水を飲もうとした。
まだ自分の力で立ち上がれるとも、
まさかその上水を飲もうとするとも思っていなかったので、
不覚にも涙が溢れた。


生きようとしている。
もう楽にしてやった方がよいのでは、などと
まだ勝手に決めつけるなよ、と言われたような気がした。


明日は午後が休診で本当は面会出来ない日なのだけど、
「明日は僕の誕生日なんですよ…
 年を越せるかどうかと思ってたのに誕生日までがんばってくれて…」
と泣き落として、どうにか面会の許可を得た。
最初から泣き落として頼み込んでみるつもりではいたが、
演技などするまでもなく、予想外のチィさんの仕草に泣かされてしまったので
一世一代の堂に入った泣き落としとなった。