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酸素室四日目。
薄く目を開けて前脚を伸ばした格好をしている。
昨日よりは呼吸が少し落ち着いて見える。
少しだけなら撫でてもよいと言われ、
硝子の扉を開けてもらう。
手を伸ばすと指先に少し顔を近付けて匂いを嗅ごうとした。
頬や鼻の上、横腹をそっと撫でると、
また前脚の上に顎を落ち着かせ、目を細めた。
意識はちゃんとあるが、朦朧としている様に見える。


痩せて平たくなった腹や肋の浮いた身体は、
しかしそれでも暖かく、柔らかだった。


必死に生きようとしている。
だから出来る限りの事をする。
矢張り他に選択肢がない。
堂々巡りをするのをいい加減にやめてしまわなければならない。
もっと強固な意志を持って側に立っていなければと思う。
しっかりと目を開いて起こる事を全て見逃さず
その都度後悔のない判断を下せるように。