シャワーを浴びていると呼び鈴の音。
こちらは裸だし、無視してしまおうかと思ったが、
何だか気になって返事をしてみた。
階下の住人だった。
水漏れしてきているとの事。
慌てて温水器を点検してみたら、
確かにタンクの下が濡れている。
階下へも水漏れの状態を見に行く。
天井の隅から雫が垂れている。
即座に大型の温水器の交換に掛かる費用、
階下の補修に掛かる費用をおおまかに算出して青褪める。
今更遅いが保険に入っておくべきだった。
兎に角頭を下げて、急いで対処させてもらうと伝えた。
建築施工の仕事に携わっている兄に連絡を取り指示を仰ぐ。
すぐに駆けつけてくれた。
業者に連絡を取って貰い、排水してタンクを空にし、就寝。
色々な事が気になってよく眠れない。


階下の住人は耳の遠い御婦人とその娘さん。
娘さんと言っても僕より歳は上だろう。
慌てている所為もあるのだろうが、
ヒステリックに母親に喚き散らすのが気に掛かる。
会話の最中に殆ど瞬きをしない。
調度品の類は高級そうなもので揃えられているが
床には酷く埃が積もっていて家の中の空気が淀んでいて薄暗い。
貴志祐介の「黒い家」を思い出した。