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ああ眠い、と目を閉じて
ほんの少しうつらうつらとしかけて
短い夢を見た。


荷詰め作業が中途になったダンボール箱が色々な所に積み上げられた、
乱雑な薄暗い部屋。
辛うじて何処に何があるのかが判別出来るくらいの明るさ。
箱の一つに猫が飛び乗るのが見えた。
白い身体に薄い茶色の斑が少し。
毛足が長く、痩せてはいないが小柄な猫。
顔の真ん中に濡れた痕の様な染みが見える。
猫は箱の上で鳴きもせず、静かに身を伏せて
身じろぎもせずじっとこちらの様子を窺っている。
弱っているのだろうか。
何処から迷い込んだのだろう、と考えて、ひやりとした。
別な猫が迷い込んだという事は、何処かが開いているという事だ。
この猫に驚いてチィさんが出て行ってしまったのじゃないか、
そう思って、慌てて飛び起きた。
目を閉じてからほんの数分しか経っていない。
とても慌てたのではっきりと目が覚めてしまった。


現状とリンクしていてあまりにはっきりとした夢だったから、
起きてからも暫く慌てた気持ちのままでいた。
これは夢で、チィさんはいつも通り隣の部屋のソファーで眠っていると解ってからも
妙な夢を見たものだと落ち着かない。
夢で見た何処か具合の良くなさそうな猫の様子も気に掛かった。
逃げるでもなく寄って来るでもなく、
只ここに居させてくれと哀願するかの様なあの目つき。
何処かで見た憶えがある。
手を差し伸べれば何処かへ行ってしまうだろう。
どうしてやればいいか解らずに、
何だかやたらと悲しくなってしまう。
身動き出来なくなってしまう。


引っ越しの事が不安でこんな夢を見たのだろうか。
荷物を運び出す間、可哀想だがチィさんは何処かに閉じ込めねばならない。
出来るだけストレスを掛けたくないが何か間違いがあっては取り返しがつかない。






チィさんはいたって暢気。