前日とは打って変わって雨の一日。
チェックアウトを済ませて最初に向かったのは、
九印から改名したseto
まだ吉祥寺に店舗があった頃からずっと気になっていて、
セレクトショップやウェブショップで買い集めた製品を愛用していた。
一度実店舗に行ってみたいと思いながら、
結局果たせないままに店舗が鎌倉に移転してしまい、
メルマガで消息を追うのみになっていた。


お店はごく普通の住宅街の中にあり、
御自宅の庭から靴を脱いで店内に上がり込む。
何年か越しにやっと来られたという事と、
ウェブショップでは売り切れて買い逃していた商品が目に入り、
しかもそれが少し値引きされている事を知り、
一気にテンションが上がる。
生き物から着想を得たデザインの商品たちはどれも愛嬌があって、
そろそろ僕が持つには可愛過ぎるのかも知れないのだけれど、
好きなものは好きなのだ。


幾つかの商品は毎年冬になると、冬毛バージョンが少量生産され、
メルマガでお知らせが届くと、いつもあっという間に完売する。
デザインは少しづつ改良され進化して、
フォルムが整えられ、使い勝手が良くなり、
細かなデティールへの拘りをより突き詰めた物へとなって行く。
そのゆるやかで着実な変革を目の当たりにする事も、
御夫婦で本当に作りたい物だけを妥協せずに作る、という姿勢にも、
強い興味と共感を持って見続けて来た。

商品を選んでいたら、セトさんの小さなお嬢さんがお店を覗いて、
愛用の鞄をわざわざ持って来て見せてくれた。
並んだ商品をイーターさんミミックさんと、さんづけで呼ぶのが愛らしい。
作ったものを子供が気に入って使ってくれるというのは、
デザイナー冥利につきるだろうなと思う。


去年買い逃した冬毛バージョンのEater-sagariEater-mobileを発見。
即座に捕獲した。


お茶を頂いて、色々なお話を伺う。
各国の民芸品にもインスパイアされているという商品に混じって、
メキシコ製の木彫りが置かれているのが目に入る。
僕には“お稲荷さんの狐の面を被った白熊に見える何か”と目が合う。
顔は狐の面で前脚をだらんと前に垂らして後ろ足で立ち上がり、
硝子ケースの中からこちらをじっと見詰めている。
気になって仕方がない。
許可を取って撮影させてもらう。
手に取って眺める。

もう、どうしても連れ帰らずにはいられなかった。
メキシコの木彫り作家さんについてのお話を色々と伺う。
と、同時にセトさんの物作りへ携わる姿勢をも伺い知る。
この人たちの作るものへの愛着が余計に湧く。
雨の中行ってみて良かった。
いつかメキシコへ行ってみたい、と、そう思った。


http://uronnaneko.jugem.cc/?eid=1382


鎌倉へ同行したmさんも偶然ここのバッグを持っていて、
それは僕のとはまた別な年の冬毛バージョンなのだけれど、
同じバッグを使っている人に出会ったのはお互いこれが初めてだった。


二人の持ち物を合わせるとこんなに賑やかな集会になる。