目覚める直前に見た夢。


廃病院か廃校の様な建物の一室に入って行く。
窓には綻びて所々裂けた旧い暗幕が貼ってあり、
かつては理科室か実験室だった様だ。
暗幕の裂け目から僅かに日が差し込んで
暗い室内をぼんやりと照らし出している。
部屋の中心には蝋で作られたと思われる解剖標本模型が
見上げるほど高く積み上げられていて、奇妙で巨大なオブジェと化している。
側へ行ってみると手脚や臓器等の人体パーツが
乱雑に山積みにされている事が解る。
そのどれもが、暗幕から差し込む光を受け
蝋特有のぬめりとした光沢を放っている。


臓器の山の頂上には三つの頭部が横並びに曝し首の様に据えてあり、
顔面の片側だけ表皮を剥がしたものや
殆ど頭蓋骨が剥き出しになった様なグロテスクなものばかりだった。
「気持ち悪い…」と思わず口にしていたその言葉は、
実際に声となって漏れた様だ。
その自分の呟き声に驚いて目を覚ました。


鮮明な夢だったが、何故こんな奇怪な夢を見たのか
思い当たる節はない。