注文を受けていた簪の発送を済ませ、歯医者へ向かう。
うっかり一駅間違えて慌てて戻るという馬鹿な事をした。
今度の治療は簡単に済むかと思っていたらとんでもなかった。
必要ないと思っていた麻酔が必要だったし、
麻酔の効きが悪くて何度も注射を追加し、
三カ所に三回、合計で九回針を刺した。
異物を埋め込むのだから痛くて当たり前だが、
痛さよりも矢張り口腔内の型取りが苦痛。
今日は三度も型取りがあった。
上顎の型取りの際に危うく嘔吐きそうになって
無意識に肩に力が入ったらしい。
それに気付いた衛生士が真横にぴったり寄り添って
「はーい肩の力は抜いて出来るだけ楽にして〜」
「お鼻でゆーっくり大きく息をしてくださ〜い」
などと言いながら背中を摩る。
お願い…やめて…と涙目になりながら
ブラインドの隙間から見えるクリスマスツリーや
道行く人を眺めて必死に気を紛らわした。
食事の約束があったのに麻酔は治療が終わる頃になって
効き目がピークに達した。
口の端が歪んで垂れ下がっている様な感覚。
BOOKOFFで時間を潰して麻酔が醒めるのを待つ。
感覚が戻り始めたので何駅か離れたところにある台湾料理屋へ行って食事をした。