空港

初めて羽田空港へ行った。
出るつもりだった時刻には酷い雨と雷で、
空港へ着くのがすっかり遅くなってしまった。
早目に着いて空港で食事でもするつもりでいたが、
慌しくハンバーガーを詰め込み、ほんの少しの間
展望デッキから飛び立つ飛行機を眺めた。
見送るのは最終便なので辺りはすっかり暗く、人影もまばらだ。


新幹線のホームや空港へ行くと、どうしてだかいつも少しだけ寂しくなる。
これから“何処かへ行く為の場所”が、別れを連想させるからだろうか。
人と人の別れに限らず、慣れ親しんだ場所から離れる事への心許なさや、
辿り着く先への不安と期待の入り混じった様な不思議な気持ちがごちゃ混ぜになって、
僕をそわそわと落ち着かない気分にさせる。
何でも誤魔化すのが巧くなって、一々顔や態度に出る心配はなくなったものの、
矢張り平常とは別な感じがして、用が済んだらそそくさとその場を後にしてしまう。


“何処かへ行く為の場所”は“何処かから辿り着く為の場所”でもあるのだから、
少しも寂しくなどない事は解っているのだけれど。


久し振りに飛行機の轟音を間近に聴きながら、そんな事を考えていた。



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