鮪の群れ

原美術館へ。
空間も面白いしミュージアムショップで扱っているグッズは好みだし
カフェは居心地良いしで、今日まで来てみなかった事が悔やまれる。


エヴァ・テッペ「結束の掟」と題されたビデオインスタレーションが面白かった。
真っ暗な室内。5画面に映し出された人物像が順に、ほんの僅かな動作を繰り返す。
ミカ・ヴァイニオの音響効果も相俟って非常に不気味な印象を与え、
観る者を不安にさせる。


音響と映像が与える心理効果に昔から強い関心がある。
両者は“怖く”させる事、“悲しく”させる事に、
特に顕著な効果を発揮する様に思う。
音響効果を使って人を不安にさせるのは容易い。
視覚や聴覚の刺激で自分の心理状態が容易く変化して行くのを体感するのは、
何度試してみても非常に興味深い。




食事をする店を探して、会社帰りの人たちで溢れる品川駅を歩いた。
大勢の人達が足取りを揃え、同じ方向を目指して流れて行く。
その光景は、まるで鮪の群れが回遊する様を想わせた。
僕は鮫になり、蛸になり、海月になってその中をふわふわと漂う。


大勢の人達の中に混じると、いつも奇妙な疎外感を感じる。
物心ついた頃からずっとそうだった。
鮪には、なれない。




今日は蜘蛛の巣スカーフにしてみた。

同行した人の膝掛けになったり、
きつ過ぎるエアコンの風を避けるのに役立った。