さようなら

ネットでしか繋がりがなかったし、
然程親しくやりとりをした訳ではなかったけれど、
それでもどうしてるかと気になって
時々は更新されない日記を覗いてみたり、
元気でいるだろうかとぼんやり考えてみたりしていました。
あなたは結局最期まで一度も弱音らしき言葉は吐かず、
いつもどうしてそんなに強くいられるのかと思うほどに明るくて、
僕はどうして一度も励ましの言葉も掛けられなかったのだろうと
今更の様に悔やみます。
頑張って、とか
元気を出して、とか
あなたの強い決意や覚悟の前に、そうした僕の薄っぺらな励ましは
とても失礼な気がして、どうしても口にする事が出来なかったのです。
今となっては、何とかそうした気持ちを伝える事は出来なかったのかと
そう思うけれど、悔やんでみてももうあなたには届かない。
せめて、あなたの毅然とした態度を、いつも立派だと敬服していた事を
ほんの少しでも伝えようと努力すべきでした。


あなたの居ない家で、猫たちは今も窓辺で日向ぼっこをして
元気に暮しているのでしょうか。



今はもうあなたを苦しめるものは何もありません。
痛みや苦しみのない場所で、どうか安らかに眠って下さい。
そこがあなたが暮したがっていた沖縄よりも
ずっと暖かで快適な処だと良いなと、心からそう思います。


さようなら
ありがとう








追記


気丈なあなたが最期の言葉を一言も残せないほどに
病は素早くあなたの命を絶ったのでしょうか。
だとしたら苦しみはあまり長くは続かないで済んだのかな
それともわざと別れの言葉は残さなかったのでしょうか。
同じ病で苦しむ人達に、今も何処かで挫けずに戦っていると、
そう思って欲しくて、何も言わずに去ったのでしょうか。
あなたならそうするかも知れない、とそう思うのです。
もしそうだとしたら、その壮絶な覚悟の上の沈黙に
改めて頭が下がる思いです。
ああ、矢張りもっと言葉を交わしておくべきでした。


ゆかさん、心から御冥福をお祈りします。