アンキさん
谷中安規の版画が観たい。
急にそう思った。
最初に知ったのは内田百輭の本の挿絵に使われていたユーモラスな版画で、
作中にも風船画伯として登場し、百輭宅の卓袱台や柱に
懐から取り出した彫刻刀で、知らぬ間に彫り物をして帰ってしまう不思議な版画家、
という印象が強い。
実際に掴み所のない不思議な人物であった様だ。
あばら家に住んで傘の骨を改造した彫刻刀で版画を彫り、
いつも金には不自由していて腹が空けば生米を齧り、
それでも珈琲だけは欠かさなかったというアンキさん。
飢えて亡くなってしまう最期は孤独で切ないのだけれど、
あくまでも自由を貫いた生き方は、いっそ潔くて清々しい様な気もして来る。
http://hugo-sb.way-nifty.com/hugo_sb/2004/11/post_57.html
http://homepage2.nifty.com/taninaka/taninaka.htm
谷中安規「街の本」