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毎朝、ソララは起きるとベッドの隣りにおいてある木のムーンブーツに指を指します。
渡してあげると、木のムーンブーツしっかり抱き締めてキスしてあげます。


以前に彫ったムーンブーツが、ソララちゃん*1 に
とても大切に可愛がってもらっている事を知る。
そのお家にはムーンブーツを含め、四匹の猫が住んでいて、
ソララちゃんは毎朝四匹を抱きしめてキスしたいのだけれど、
本物のムーンブーツはもう随分と歳をとってしまっていて、
何も見る事が出来なくなってしまったし、何も聞く事が出来ない。
触れればそれだけで脅かせてしまうから、
小さなソララちゃんはムーンブーツにキスする事が出来ないでいた。


それでソララちゃんは、朝起きるとベッドサイドに置いてある、
木のムーンブーツにキスをするのだ。
小さな手で抱きしめて、何度も何度も。


誰が教えた訳でもなく、ソララちゃんは
木のムーンブーツを“ムーンブーツ”として認め、愛してくれている。
どう表現して良いのか解らないくらい嬉しかった。
どこのどんな偉い美術評論家に評価されるよりも、嬉しい。




仕事がしたい。
誰かに必要とされるものを彫りたい。
誰かの傍に在り続けるものを。





 

*1:木彫のムーンブーツが引き取られて行った先の小さなお嬢さん