結実

ここ数日、友人の個展準備を手伝っていた。
ろくに暖房器具もないアトリエで
連日凍えながら夜を徹して制作を続け、帰りの車中では
もう一言も口をきく気力さえ残っていない。
不安と焦燥感と疲労に打ちひしがれながら
それでも制作を諦めようとはしない友人を見て来たから、
今日の設置を終えて、それが良い展示になると確信を得た瞬間、
煤と埃と汗とが結実する瞬間、
他人事とは言え高揚感を覚えずにはいられなかった。
光り輝く瞬間、結実の瞬間に立ち会う事は、いつだって喜ばしい。





鉄を削り、焼き、打ち伸ばし、煤と埃に塗れて
顔も手も真っ黒にして、寒さや辛さを耐え忍んだ甲斐は、
きっとある。



村井 一貴 彫刻展
http://www.jade.dti.ne.jp/~mam/08-01k.html

http://uronnaneko.jugem.cc/?eid=1057