昼食は浅草の尾張屋にて蕎麦を食す。
蕎麦つゆを控え目にしてあっさりとした蕎麦の味を楽しみ、
蕎麦湯に薬味を入れてごくごく飲む。
おおざるを注文するもあっと言う間に平らげる。


雷門を潜り抜け、人形焼を齧りながら仲見世をぶらぶら歩き、
髑髏や毒蜘蛛の半纏を買いそうになりながら、浅草寺に参る。
賽銭を投げ込んで天を仰いだら、龍と天人散華の天井画が目に飛び込んで来た。


長い間上を仰ぎ見る様な事がなかった。
気が付くといつも俯いている。


御籤は吉。
願いは叶う。
引越しは吉。
待ち人は遅し。
気を良くしてアンジェラスでお茶でもしようと行ってみたら、
臨時休業中。
行く先々でこうした事が度々ある。
ここでも間の悪さを遺憾なく発揮した。


気を取り直して東京駅へ向かい、新丸ビルの屋上でお茶をする事にした。
よく晴れて暖かく、時折吹く強い風さえも心地良い。
エスプレッソをシングルで一杯。
きゅっと飲み干してベンチに寝転がり、空を見た。

うろこ雲が押し寄せては消え、日が沈んで行くのを眺める。

薄っすらと見える山影は富士山らしい。
こんなところから富士山が拝めるなんて思いもしなかった。




穏やかで楽しい時間を過ごした。
楽しいの後は、少し寂しい。