猫は後ろ足で砂を

能面の様な無表情さや、薄っぺらな笑いの奥に
色々なものを封じ込め、表に溢れ出さない様に隠し続ける。


どうして、いつ頃からそうなったのかよく解らないけれど、
僕は多分、平静を装う術に長けている。
長けているとは言っても、それはもう悪癖の様なもので
意識してそう出来るとか、努力してそうしているという類のものではない。


隠す術に長けるのでなく、抑える術に長けていたら良かったのに、
そうではないから時々不自由する。
見えなくする事と抑制する事はまるで違う。




ごく僅かな人のみが、僕がけして穏やかな人間でも
人並み以上の寛容さを持ち合わせている訳でもない事を知っている。