水道公園

小さな頃に通った公園の記憶。
暑い所為か、急に思い出した。


屋外に市民プールがあり、
すぐ横にはドーム型の旧い図書館が建っている。
名の由来は知らぬが水道公園と呼ばれていた。
夏になるとプールで泳ぎ、図書館で涼んだ。
プールの外には、食べると口の中が
毒々しい青やピンクに染まるわらび餅を自転車で売りに来るおじさんがいて、
僕はそれを買い食いするのが大好きだった。


当時は本を読む事に殆ど興味はなかったが、
然程大きくはないドーム型の建物の中にぎっちりと並べられた本棚の中を
ぐるぐると歩き廻るのが何故だかとても気に入っていて、
時々気になる背表紙を見付けると、その本を引っ張り出しては表紙絵を眺め、
狭い螺旋階段を登ったり降りたりして暗くなるまで図書館の中をうろついていた。


今はもう図書館は移転して、建物も残ってはいない。
どれくらいの大きさの建物だったのか、螺旋階段が本当はどんなだったか、
記憶も定かではない。
薄暗さと、少し湿った様な匂いだけが蘇る。