上田純子 
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日本 薩摩琵琶 平家物語

日本 薩摩琵琶 平家物語

日本 薩摩琵琶 平家物語


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり  
 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす  
 驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢幻の如くなり   
 猛き者もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ ”


部屋の灯りを落とし、響き渡る琵琶の音と
朗々と詠い上げられる合戦の様子に耳を傾けていたら
自然と鳥肌が立った。
Amazonで商品説明の欄を見たら、

比叡山延暦寺ほかで録音が行なわれ,
フランスでディスク・グランプリを受賞している。

とある。
歌詞の意味が解らずとも、
きっとこの「鬼気迫る」とでも言うのか
尋常ではない空気感は伝わるのだろうな、と思う。


まだ小さな頃、どういう経緯でうちに来たのか
応接間に暫く琵琶が置かれていた事があって、
僕はよくそれを指で爪弾いて悪戯した。
幼い耳にもその響きには
乱雑に扱う事を躊躇わせるに充分な「何か」があった。
撥でそっと弦を弾くと、昼間だというのに
一瞬にして応接間の影が色濃くなった様な
目には見えない異界の扉が開いて行く様な
そんな感覚を憶えたのを思い出す。
琵琶の音色は不思議だ。


小泉八雲耳なし芳一 の物語を知るのは
まだそれからずっと後の事だった。